憧れのモンサンミッシェルとボーモン村|ヨーロッパひとり旅 その4

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フランスノルマンディー地方ボーモン村の猫
 この日は早朝から、この旅の目的のひとつでもあったモンサンミッシェルへと向かう。個人で行く場合は電車を乗り継いで行くが、ツアーでも個人手配でも費用がさほど変わらないので、今回は手間のかからない現地ツアーに参加。

夜景も楽しむモンサンミッシェル

 ツアーはエミトラベルという会社の「夜景モンサンミッシェル+ノルマンディ小村+ホテルお送り付きプラン」に申し込む。一人150ユーロ。パレロワイヤルから出発、途中でノルマンディーの小村に立ち寄るコース。フランス語に堪能な日本人添乗員も親切。窓から見える風景について要所要所で適切な説明をしてくれた。

 まず最初にノルマンディ地方のボーモン村を目指す。直線距離にして約160km、日本でいえばおおよそ東京から静岡の距離に相当。

そう考えると日帰りという事実に若干驚愕。この日は交通事故の影響で、パリ市内を出てから長い渋滞が続きスケジュールが若干遅れ気味であった。高速道路を埋めつくした車が、陸に上がった海亀のごとくゆっくりと動き続ける。

ほとんどの車にはドライバーが一人だけ乗車。渋滞を見るたびに車社会の効率の悪さにため息がでる。途中一度だけパーキングエリアに立ち寄るが、他の観光地の例にもれず、女性用トイレの行列は破滅的な長さである。女性はバスを降りたらトイレへ走るべき。

童話のようなかわいい建物が並ぶ小村「ボーモン村」

 村へ近づくバスはエルフでも出てきそうな美しい小道を走り続ける。バスが行き着いた広場の展望台から見える広々とした草原も気持ちが良い。目抜き通りには、まるでおもちゃで作られたようなかわいい建物が立ち並ぶ。村の中央には立派な教会もある。

ボーモン村のかわいい建物ボーモンからみえる平地@フランス、ノルマンディ

 村では名物のチョコレートなどを買うことができるそうだが、この日は渋滞の影響で到着が遅れたことから、提携しているショップはほぼ閉まっていた(といっても元々ほとんど店はない)。

 ちなみにボーモン村はラプラスの悪魔で有名な数学者ラプラスの故郷で、銅像と生家を見ることができる。理系の方にはご利益があるかも。
数学者ラプラスの銅像@ボーモン村、ノルマンディ地方、フランス

小村を歩く観光客の集団に違和感

 ボーモン村には約40分ほどの滞在。本当に小さい村であるため充分すぎるほどの時間だった。目抜き通りは端から端まで10分程度で歩けてしまう。

ボーモン村教会@フランス、パリ

 観光客が村で金を使えば村にとってはメリットがあるし、観光客にしてもパリでは見られない古い街並みを見ることは良い体験になる。村人は概して愛想良く接してくれるが、観光地化されているわけでもないこの村の中を、あてもなくさまよう観光客の姿に違和感があった(僕もその観光客の一人だったわけだが)。観光客受け入れに反対の村人もいるのは間違いないと思うが、今後も村と観光客の間に良好な関係が保たれることを切に願う。

 若干感動に欠けたボーモン村を後にして、本旅行の目玉のひとつであるモンサンミッシェルへと向かう。雨が降り始めていたが、集団を乗せたバスは遅れを取り戻すべく西へ向かってスピードを上げた。道のりにしてパリから300キロ以上。東京から名古屋の距離に相当する。

初めて見た不思議な植物「宿り木:ヤドリギ」

 窓の外には相変らず広々とした平地が広がる。そこには僕が好きな杉林はない。しかしその代わりにとても興味深い珍しい植物を見ることができた。

フランス名物の寄生植物ヤドリギ

 背の高い木の枝に、ところどころ丸く固まったものが見える。鳥の巣のようにも見えるがこれはヤドリギという寄生植物。鳥に運ばれた種が宿主の枝にくっつき、樹上で根を下ろし成長するとのこと。話をきくだけでは不気味な植物だが、見た目はむしろ可愛いらしい。これまで行った国でも一度も見たことがなかった。

そしてようやく来た、モンサンミッシェル修道院

 目に焼きついて離れないフランスの平地、その向こうにいよいよモンサンミッシェル修道院が姿を現す。天気がよければもっと鮮明に見ることができただろうが、今日は曇り空に雨というあいにくの天気である。それでも徐々に姿を現すそのシルエットに感動。

モンサンミッシェルのシルエット

 観光バスが入れるのは陸側の街までで、そこから修道院までは無料のシャトルバスを利用する。このシャトルバスは前後に運転席があり、ユーターンをせずに町と修道院を往復する奇妙な車両である。

モンサンミシェルと町を結ぶ無料シャトルバス@フランス

シャトルバスを降りると、写真でしか見たことがなかったあの修道院が眼前にそびえ立つ。靄がかかっているがしっかりとその大きさがわかる。

モンサンミッシェル修道院@フランス

 島いっぱいに建物がどっしりと乗っかっている姿はとても興味深い。中へ入るにはそこからさらに10分程度歩く。橋の工事と雨のおかげで足元が悪いが、そんなことには目もくれず、誰もが吸い寄せられるように修道院へと歩を進めるのであった。修道院に到着。城壁の中には狭い路地沿いに商店やレストランが並び、そこを通り抜けて修道院へと入っていくのである。

賑わいを見せる城下町商店街

 今は潮が引いている状態。島の周りは泥に覆われた湿地が広がっている。ここは干満の差が最大15m以上にもなるという場所である。以前僕は海関係の仕事をしていたが、そこでの干満差は2m程度だった。2mでも相当大きな差のように思えたが、15mでは確かに巡礼者が遭難しても不思議はない。実際に遭難者が多かったとのこと。

モンサンミッシェルの橋

 城壁の内部へと進むと狭い路地にみやげ物屋やレストランがところ狭しと立ち並んでいる。人が多くアジアのマーケットのような活気のある商店街。人気があるのはモンサンミッシェルクッキーのようだ。しかしここはすべて観光地価格である。

モンサンミッシェル商店街

 レストランもいくつかあり、名物のオムレツが人気とのこと。僕が参加したツアーでも、提携店で待たずに割安価格で特製オムレツを食べられる20ユーロ券の販売をしていたが買わなかった。修道院やその周辺をじっくり見るとなるとゆっくり食べる時間はなさそうだったし、実際になかった。

飾り気のない修道院の中

 この修道院は都会の教会のような派手な装飾がほとんどない。地味である。本来は修行に没頭するための実用的な建物なのだ。建物の中はどこまでも薄暗く無機質な風景が続く。そんな中、柱やアーチ状の天井など、美しい建築を楽しむのである。

モンサンミッシェル
モンサンミッシェル内部
モンサンミッシェル内部

 途中にある、日の光が差し込む中庭や、展望台のようなスペースは修行僧たちにとってもほっと一息つける場所だったのだと思われる。展望台からは外の湿地体を歩いている人達も見えた。修道士達もたまには潮干狩りなどして気晴らしもできたのだろうか。

モンサンミッシェル中庭モンサンミッシェル湿地モンサンミッシェル展望台

 この薄暗い孤島の修道院で、外部との接触を一切遮断されひたすら修行に励んでいれば、極限まで精神が高められ覚醒状態となってもおかしくない。神や天使の声が聞こえたと真顔で言われれば特に反論もできないだろう。白が黒になったり、黒が白になっでも不思議ではない。そんな厳かな空気の中を楽しそうに歩く観光客の群れ。奇妙な光景である。

 僕は修道院とその周辺を2時間以上かけてじっくりと見てまわった。あたりは薄暗くなっていたが、ライトアップされた夜のモンサンミッシェルは昼間以上に美しかった。やはり夜景が見られるツアーを選択して正解だった。

モンサンミッシェル夜景

 そしてパリへ到着し旅行会社の手配したワゴンに詰め込まれて各ホテルを回る。ホテルに到着した時にはすでに日付が変わっていた。東京から名古屋の距離を日帰りで旅したのだから当然のことだろう。部屋に戻ってから今日唯一買ったみやげもの「ノルマンディ名物のリンゴ酒」を味った。シャンペンのような甘いアルコールが疲れた体を癒してくれる。明日の朝はゆっくり起きることにしよう。

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