ボーヴェ、モンマルトル、ミサンガ押し売り|ヨーロッパひとり旅 その15

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はてしなく続くフランスの平野
 バルセロナから出発した飛行機は約2時間ほどでフランスへ到着。飛行中は相変らずフランスらしい平坦な土地がひたすら続いていた。ほぼすべてが畑である。

いなかの素朴な空港「ボーヴェ空港」

 ライアンエアーがパリで利用する空港はパリ市内ではなくボーヴェ空港(Beauvais)である。この空港はパリから北約70キロの場所に位置している。建物はプレハブでできているのではないかと思わせるぐらいの、田舎の素朴な空港である。

パリ北部のボーヴェ空港

 パリへの移動は、ライアンエアーの到着に合わせて運行しているシャトルバス以外に選択肢はない。到着するのは凱旋門から北西に少し行ったPorte Maillotという場所。所要時間約1時間半、料金16ユーロ、座席指定なし。

パリ北部ボーヴェ空港シャトルバス乗り場

 ボーヴェ空港のバス乗り場に乗車券の券売機もあったが、どちらにしろこのバス以外にパリまでの交通はないので、ここを利用する人は事前にネット予約をしておくと便利だろう。このバスもメールを印刷したものがそのまま乗車券になるので忘れないように注意。

パリ北部ボーヴェ空港シャトルバス券売機

 バスはライアンエアーが到着してから30分以内ぐらいで、満員になり次第その都度発車するようなので時間がない。素朴なボーヴェ空港にもマクドナルドがあったが、コーヒーなど飲んでいるとバスに乗り遅れてしまう可能性もある。次にライアンエアーが来るまでバスは動かないのかもしれない。

宿泊場所モンマルトル周辺は危ない繁華街

 翌日はシャルルドゴール空港から朝の飛行機に乗る。早朝にパリ北駅からRERB線で空港へ行く計画だったので、北駅へのアクセスがよく、旅行前半のパリ滞在時に見ていなかったモンマルトル・サクレクール寺院に近いホテルを取っていた。バスターミナルから地下鉄でホテルの最寄駅バルベス・ロシュシュアール(Barbès-Rochechouart)へ向かう。事前に調べていなかったのが悪いのだが、このあたりは移民街で、かなり治安が悪い場所だった。

バイオハザードのごとく脱出を試みる

 地下鉄はバルベス・ロシュシュアール駅に着いた。昼間にもかかわらず、改札の外には虎視眈々と主人公を狙うバイオハザードのゾンビのごとく、僕に視線を送る柄の悪い人々がたむろしていた。思わず他の改札が無いか探してみたが出口はそこだけだった。

 一瞬怯んだが僕は意を決し、バイオハザードの主人公のように素早く銃を構えて改札を出る、という設定を頭に思い描き、実際は銃ではなく旅行カートをゴロゴロと転がしながら改札を抜けた。日本人など誰一人歩いていない。頭に叩き込んでおいた記憶の中の地図を頼りに、カートを引きながら前だけを向いて、急ぎ足でホテルへ向かった。ものすごく見られていることを確信できたが、なんとかホテルへ到達したのであった。

 この駅は、旅行前半のパリ4泊で滞在したホテル近くの、高級住宅街にある駅とは利用者層ががらっと変わる。駅の外にも昼間からなにもせずにたむろしている人が多いことからもその違いが目に付く。翌朝は、日の出前のまだ真っ暗な時間に、このバルベスロシュシュアールから地下鉄に乗ってパリ北駅まで行こうと思っていたが、感覚で危険を察知。よって計画変更。オペラ駅まで行って安全なロワシーバスに乗ることにした。

チェックインを済ませ、モンマルトルの丘へ

 どうせ一日だけと思いホテルも安いところにした。バックパッカーが多いホテルで、僕は個室でシャワー・トイレは共同の部屋を予約してあったのでその通りあてがわれる。宿代は約4000円。室内は清潔感だったのでこれだけで充分。どうせ明日の朝6時にはここを去るのである。カートを部屋に置いてアメリで有名なモンマルトルの丘へ歩を進める。

モンマルトル周辺では押し売りに注意

 モンマルトルの丘に建つサクレ・クール寺院へ近づく。ここは時間があったら来よう程度に思っていたのでほぼなにも調べてこなかった。でも調べておけばよかった。

 道沿いにある寺院の入口ゲート付近から中に入って写真を撮ろうとすると、血に飢えたゾンビのごとく黒人の男が僕の横にピタリと寄り添ってきた。ミサンガと呼ぶべき紐の腕輪を僕の手に巻こうとしているらしい。瞬間的に危険を察知した僕は腕を引っ込める。男は「みんなやってる。きみもやらないとダメだよ、お兄さん」と言いながら「腕をつかんでくる」さらに腕を引いて立ち去ろうとすると、また腕をつかんで一緒に歩きだすではないか。そしてまわりにたくさんいる仲間も、こちらに向かってこようとしていた。もう一度、彼の腕を振り払って早歩きでなんとかその場を立ち去る。

【モンマルトルにいるミサンガの押し売り、と被害者】
モンマルトルのミサンガ押し売り

 あとでネットで調べてみると、モンマルトルでは有名なミサンガの押し売りらしい。抵抗せずに巻かせると50ユーロなどの法外な金額を取られることもあるとのこと。ミサンガ売りはたくさんいて、僕の周りには実際に腕に巻かれている人が結構いた。彼らは少なからず被害を受けているに違いない。他の場所でも、かわいそうな身の上話をきかせる詐欺や署名詐欺はいたが、ここの押し売りたちは腕をつかんでついてこようとする。その暴力的なやり口と、しつこさが非常に悪質である。

 彼らは私服をきていたが、もしスーツや制服っぽいものを着ていたら、寺院の入場券かなにかと間違えてひょっとしたら騙されていたかもしれない。この辺はスリも多いようなので、行かれる方は充分に注意をしていただきたい。Googleストリートビューでも観光客を足止めする様子を見ることができる。

パリ中心地区とは違う、危ないモンマルトル

 そんなことがあり、この辺を観光する意欲はすっかりなくなってしまった。2,3枚写真を撮って立ち去る。まわりの通りや路地も歩いてみたが、海外の観光地でよくある路上でやるイカサマの賭け事みたいな連中もいた。ここはルーヴルやオペラとはまったく雰囲気が違う。一言で言えば柄が悪い。わかりやすく言えば銀座と歌舞伎町のような違い。

 見れば見るほどガラの悪い場所モンマルトル。翌朝はロワシーバスで空港まで行くことにしたので、地下鉄の窓口で予め乗車券を買っておく。それにしても明日の朝は、まだ暗いうちに、ロワシーバス乗り場のあるオペラまで、なんとか地下鉄でたどりつかねばならない。この辺には駅がいくつかあったが、どれも似たような雰囲気の治安の悪い危険な駅である。

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サクレ・クール寺院

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