ブリュッセル中央駅から街へ出る。一面すべて石畳。パリよりも古いヨーロッパの情緒あふれる街並みである。絵本に出てきそうなかわいい風景。そして珍しく青空が広がっていることが本当にうれしい。
まずは小便小僧
ブリュッセルで最も有名な見所は小便小僧で間違いないだろう。名前はジュリアン。彼の出自についてだが、敵が仕掛けた爆弾の導火線に小便をかけて街を救った少年という説が有力とのこと。
路地を歩いて行くと、目立たない角地で無限小便をしている彼に出くわす。この幼児が街を救おうと、導火線に照準をさだめて必死に小便をしている姿を想像すると涙ものである。銅像にされる価値あり。
それにしても本当に小さい(60cm程度)。よく注意していなければ見逃してしまうほどの小ささである。場所も路地裏。渋谷のハチ公のようなアピール力はまるでない。実は恥ずかしいのかもしれない。
彼は様々な衣装を着ていることでも有名。今日はどんな立派な衣装を着ているのだろうと楽しみにしていた。そんな彼が着ていた今日の衣装は「白い布の服」。全衣装の中で一番地味なのではないかと思えるような服であった。友人によるとこの日は地元学生の祭りで、学生たちは汚れてもいい服を着るらしい。
小便をしている少女もいる
ブリュッセルには小便小僧に対して小便少女も存在する。小僧がいるからといってなにも少女にまで小便をさせなくても、、、だがブリュッセルの立派な見所なのである。
小便小僧が1619年に制作されたのに対し小便少女の制作は1985年と、明らかに小便小僧から派生したパロディである。彼女はレストラン街にある「ものすごく狭い路地」の奥でひっそりと小便をし続けている。少女だけあり、いたずらをされることが多いらしく、彼女は鉄柵でしっかりと保護されていた。
小便少女には小便小僧のような歴史的背景はなく、周辺レストラン街への客寄せのために作成されたとのこと。小便小僧よりもさらにわかりにくい場所にある。注意していないと見つけられないだろう。ぜひ一度皆さんもごらんあれ。
世界一美しい広場と言われたグランプラス
ブリュッセル市庁舎があり街の中心である広場グランプラス。あえて英語で表記するならGrand Place大きな広場となる。フランスの文豪ヴィクトル・ユーゴーが「世界一美しい広場」と呼んだ場所。たしかに「大きな歩道」でだだっぴろい、パリのコンコルド広場とは比べ物にならない美しさ。
広場は石畳でできており、その周りを中世ヨーロッパ風の建物が取り囲む。童話の世界がそのまま飛び出してきたような風景で本当に美しい。勇者や魔法使いが歩いていても不思議はないような雰囲気。
グランプラスには立派な建物が立ち並び、街の中心として栄えてきた貫禄が漂う。中でも市庁舎の尖塔はずばぬけた高さで、遠くからでも見えるので目印になる。ただし四辺を建物でびっしり囲まれているため、広場という言葉からイメージするような解放感はない。しかしグランプラスは中世の都会の姿をそのまま残した美しい場所、ぜひ一度は訪れていただきたい。僕が訪問した日は、クリスマスの飾りつけ準備のための骨組みや資材が置かれていたことが少々残念であった。
そしてベルギービールを飲みに行く前に腹ごしらえをする。ベルギーではフライドポテトが人気で、このポテトサンドイッチがとてもおいしかった。
ベルギーといえばベルギービール
ベルギーで最も有名なもの、僕にとってそれはビールである。ドイツのように「麦芽・ホップ・水・酵母のみを原料とする」ビールとは違い、多様な副原料を使用した様々な種類のビールがある。日本の税区分で言えば発泡酒にあたるものもあるが、とにかく種類が多い。グランプラス周辺には、観光客向けのビール専門店もあるほど。日本ではヒューガルデンやシメイなどが有名。
僕はビール好きなので、ベルギーに来たらできるだけ多くのビールを飲みたいと思っていた。このために旅程にベルギーを入れたと言っても過言ではない。パリ滞在中に安いサンドイッチとワインで過ごしていたのも、ベルギーで死ぬほどビールを飲むためなのである。
昼間から開いているバー、大量のビール
ビールの国ベルギーは昼間でもカフェでビールを飲んでる人がたくさんいる。バーも開いていた。僕も友人と二人で午後2時前からビールを飲み始めた。まずは地下のバーに入る。カウンターに座ると電話帳のような分厚い本を渡される。なんとこれがビールのメニューである。全部飲んでやるという勢いで店に入ったが、飲む前から挫折してしまった。どれを飲むか選ぶことすら困難である。価格は物によって3~7ユーロ程度。安くはない。
珍しいのはチェリーやリンゴなどを副原料にしたビールや、倉に住み着いた天然酵母を利用したランビックビールなど。これらの変則種は基本的には酸っぱくてシャンペンのような味がする。僕はどちらかというともっと濃くて甘みも感じられるどっしりとしたビールが好みだが、様々なベルギービールに挑戦した。
ちなみにベルギーではビールを飲み干さずに、ほんのわずかな量をグラスに残すのがマナーとのこと。ビール酵母カスを飲みこまずにグラスに残すという意味らしい。これはおそらく品質管理が難しかった昔の習慣で、今のベルギービールの品質は最高だし、このような習慣は本当は必要がないのだと思う。
ビールを飲みながら熱く語りあうベルギー人
その後友人の友人も交え店を数軒ハシゴする。随時人が入れ替わったがひたすらビールを飲み続ける。僕と友人は最初から最後までいたので、結局10時間以上ビールを飲み続けていた。つまみは一切なし、簡単なナッツすらなしでひたすらビールだけを飲み続けた。
ベルギーではお酒と食事は別の物と考えられているため、日本のように、食事と言ってもいいような多めのつまみを食べながら酒を飲むという居酒屋スタイルはない。
彼らは普段オランダ語かフランス語で会話をしているが、今日はどちらもわからない僕がいるためすべて英語。話題は基本的には終始ヨーロッパの政治についてで、話についていくいのが大変だった(というかついていけてなかった)。次回来るときにはヨーロッパの政治や歴史をしっかり勉強してこよう。
アサヒビールを見た、そしてチェコのビールで終わる
最後の店ではアサヒビールも置いてあった(飲まなかったが)。余談だが日本のビールはヨーロッパの濃いビールに比べると、水で薄めたようなビールのようである。そしてメーカーが少ないので種類が少なくどれも味が似通っている。地ビール会社がもっと増えるか、今ある地ビールがもっと流通に乗れば日本のビールファンはもっと幸せになれる。
最後はなじみのあるビールを飲もうとしてピルスナーウルケルを頼む。ビールで有名なベルギーにいるにもかかわらず、締めにチェコのビールを頼んでしまった。しかしピルスナーウルケルは、苦味と甘みとコクを兼ね備えたとてもおいしいビールなのである。そしてヨーロッパビールとしては日本国内でもわりと低価格で販売されているおすすめのビール。
疲労と酔いで倒れるように眠る
10時間以上飲み続けたため、そろそろおひらきにする。タクシーでホテルに帰ることにする。かなり酔っ払っていたが、乗車前に友人にフランス語できちんと交渉してもらったため、ぼられることなく事前の金額どおりでホテル到着しチェックインを済ませる。
ベッドが3つも置いてある広い部屋だった。僕はパリからの移動とビールの過剰摂取のためにかなり疲れていた。僕は出入り口に一番近いベッドに倒れこみ、朝まで死んだように眠った。
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