映画レビュー:カールじいさんの空飛ぶ家(Up):偏屈じいさんが風船で冒険するハートフルドラマ

ネタバレあり。

🎈じいさん、風船で空を飛ぶ!

2009年5月29日公開のディズニー・ピクサーのアニメーション映画。

カールじいさんの空飛ぶ家あらすじ

開発が進む町に取り残された感じの古い一軒家で暮らすカールじいさん。立ち退きせざるをえなくなったのをきっかけに、亡くなった妻との約束を果たすため大量の風船を取り付けた家ごと空を飛んで南米の秘境に旅立つ。しかしそこで彼を待ち受けていたものは・・・

原題は「Up」

本作は原題が「Up」という短い単語である。

このタイトルはディズニーの優秀なブレインたちが映画を売るために知恵を絞って考えたのだろうがアメリカの映画ファンにとって本当にキャッチーなのかどうか不思議でならない。

日本語だと飛べ!とか上昇!とかそんな感じなのではないかと思う。僕は一応元米国在住の帰国子女だがそれでもよくわからない。

札幌時計台のようなカールじいさんの家

カールじいさんの家は開発が進むビジネス街のような場所にポツンと取り残されて建っている小さな一軒家。この家はかつて見た札幌の時計台を思い出さずにはいられない。

札幌時計台もビル街に建っている小さな建物で、初めて見た時はまるで大都会に迷い込んだ田舎の老人のような印象を受けた。写真で見るとものすごく立派な屋敷のように見えるがそのようなオーラはなかった。

老人と子供のコンビ

本作は老人と子供が主人公の冒険映画である!

主要登場人物
  • カールじいさん:冒険に憧れている老人
  • ラッセル:ボーイスカウトの少年。カールじいさんと一緒に旅することになる

この手のでこぼこコンビ映画にありそうな展開は以下のようなイメージ。

  • 子供はハイテクを駆使するが充電が切れたりデバイスが壊れて弱気になる
  • 経験豊富な老人はそんな子供を元気づけながら洗練されたサバイバル能力を発揮
  • 二人で協力しながら困難を乗り越え無事故郷に帰還

視聴前に僕が想像した内容はこんな感じだったが実際はそうでもなかった。

ラッセルは特殊技能なし

ラッセルは親から渡されたGPS装置は持っていたがハイテク少年ではない。ボーイスカウトとしても優秀とは言えずテントを立てたことすらない。だが無邪気で裏のない心優しい少年。

偏屈じいさんが生まれ変わる

カールじいさんは冒険に燃えるじいさん。アウトドア系ではないが怖いもの知らずでいざという時はアクションも辞さない活躍。偏屈じじいキャラだったが旅するうちに愛情あふれる熱いキャラになる。

🎈憧れの南米まで風船で飛ぶ

カールじいさんはすでに亡くなっている奥さんと、いつか一緒に南米の秘境パラダイスの滝まで行こうと約束していた。

開発業者ともめて旅に出ることを決意

カールが旅に出ることを決意したきっかけは立ち退きを迫る開発業者とのトラブルである。

作中ではアクシデントでカールが不利な状況に追い込まれてしまったが、僕はこれは事故とみせかけた開発業者の罠だと思うので、このシーンはかなりイラつく展開だった。

きっかけはどうであれ、その後カールは南米の絶景「パラダイスの滝」目指して10297個の風船を取り付けた家で旅に出る。

絶景スポットのモデルはカナイマ国立公園

カールが目指すパラダイスの滝はベネズエラのカナイマ国立公園にあるエンジェルフォールがモデル。確かに一度は見てみたい絶景である。昔はネットもないから気軽に現地の写真を見ることができないし、秘境に対する冒険者たちの憧れは今とは比べ物にならないほど強かっただろう。

悪党マンツとの戦い

僕は普段アクション映画をよく見るが、信じていた人に裏切られたという展開はかなりメジャーなプロットだと言えよう。

アクション映画とも言える本作の場合、カールは現地で会った冒険家マンツに煮え湯をのまされることになる。

マンツはカールの憧れだった

マンツはカールが子供の頃から憧れていた有名な冒険家で偶然の出会いに最初は感動していた。しかし実際にはマンツは金の亡者の悪党で多くの犬を飼いならして悪事に加担させている。

マンツは見世物にするために山奥で伝説の虹色の怪鳥を捕らえようとしていたが、それを阻止するカールたちを銃で攻撃、犬の群れに襲わせる、カールの家に火をつける、など目的達成のためなら相手に対して容赦のない残虐な男だった。昔の海賊が捕虜を板から海に飛び込ませたような方法で椅子に縛られた少年ラッセルを飛行船から捨てようともした。

空中バトルで非業の死を遂げる

マンツは怪鳥を捕らえるが、カールたちがマンツの飛行船まで救出に向かい空中バトルで対決する。マンツは戦闘中に空飛ぶ家から地上に落っこちておそらくそのまま死亡。ディズニーアニメの悪党にしてはなかなか残酷な最期だと思う。

悪党栄えず

僕は動物や子供がひどい目に遭う展開がかなり苦手である😣

現実でもそうだが動物や子供を虐待するような人間は犯罪者の中でも特に最低のクズだと思う。抵抗できないのがわかっている、か弱い存在に対して一方的に肉体的もしくは精神的な暴力を振るう人間は同じ目に遭わせても良いことにしてほしい。

マンツはクソ野郎

本作ではマンツがまさにそのようなキャラである。悪事に加担させるため犬を訓練して人間を襲わせミスをすると罰も与える。犬が悪役として描かれるのはとても悲しい。怪鳥を捕らえケガを負わせたのも不愉快である。

ただし最終的にはカールとの空中バトルに敗れたマンツは死んだため犬たちは解放された。

マンツのモデルはミンツ

マンツの名前はチャールズ・ミンツという実在の人物が由来だと言われている。この人物はウォルト・ディズニーと共にアニメを作成していたが、ヒット作「オズワルド・ザ・ラッキー・ラビット」と多数のアニメーターをディズニーから取り上げた裏切者。

映画感想まとめ

偏屈なカールじいさんがハートフルなじいさんに変貌を遂げるストーリーはディズニーらしい感動映画である。

そして僕が若干イライラした、動物が悪者として描かれる展開も親玉マンツの死により解決したのでほっとした。

正義が悪を倒すハッピーエンド冒険映画である!

ディズニー好きのみならずアクション映画好きにもおすすめしたい。あと犬の体毛まで細かに表現するCGがすごいと思った。

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おまけ:現実の風船おじさん

わりと有名だが日本にはかつて風船おじさんと呼ばれる冒険家がいた。

彼は鈴木嘉和氏というピアノ調律師で、52歳だった1992年にゴンドラに風船を取り付けたファンタジー号でネバダ州サンドマウンテンを目指して琵琶湖から飛び立った。だがその後消息を絶ちいまだに発見されていない。

ウィキペディアで経歴を見る限り鈴木氏は科学系の知識はなさそう。なのになぜこのような無謀な旅にでてしまったのか僕にはさっぱり理解できない。

おそらくカールよりは若いが52歳という年齢も常識的に考えれば無謀な冒険に出かけるような歳ではない。それでも彼には冒険により達成したい熱い思いがあったのだろう。